膣カンジダ症は、膣や外陰部に普通に存在するカンジダ菌によって引き起こされる疾患ですが、腟内には通常デーデルライン腟桿菌という菌が常在しておりグリコーゲンを乳酸に分解して腟内を酸性に保っているため、カンジダ菌が過剰に増殖することはありません。
しかし、消耗性疾患やビタミン欠乏症、また抗生物質の投与などにより抵抗力が弱まるとカンジダ菌が増殖し発症してしまいます。
症状は、外陰部の痒みや灼熱感、また酒粕状の白いおりものや膀胱炎症状などで、75%程の女性は生涯に1度は発症すると言われていますが、この疾患は女性ホルモンであるエストロゲンが関与するため、小児や閉経期以後の女性にはあまりみられません。
感染症は、ウイルスや細菌などにより引き起こされる疾患で、私たちは白血球を中心とした免疫機構により、それら病原体を攻撃・排除しています。
特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、ウイルスや細菌をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に病原体を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた病原体をも攻撃するのです。
そしてその後、病原体を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で病原体を攻撃することとなります。
また好中球は細菌やカビなどを殺傷するとともに、リンパ球の一つであるB細胞はヘルパーT細胞の命令を受けて、その病原体(抗原)に対する抗体を産生し、その抗原の働きを止めてしまうのです。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はB細胞による抗体の産生能力を高めるだけでなく、ストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果も有しているため、様々な感染症の治癒を可能とするのです。
それゆえ鍼灸治療は「膣カンジダ症」の症状である外陰部の腫れ・おりものの異常・膀胱炎症状などに対し、鍼灸治療の持つ消炎・抗炎症作用で症状を緩和するとともに、鎮痛作用により排尿痛や外陰部の痛みを軽減するのです。