肺結核は、かつては労咳(ろうがい)とも呼ばれていた国民病で、空気感染するため世界人口の約1/3が結核菌に感染していますがその発病率は約10%と低く、残り9割の人はそのままずっと発病せずに一生を終えるのです。
感染後すぐに発症するものは「一次結核症」と呼ばれ発病する人の約半数を占めていますが、残り半数の人は免疫機能が低下した時に発症するため「二次結核症」と呼ばれています。
しかし、この疾患は感染症であるにもかかわらず明らかな感染症状がみられないため、長期間続く咳・痰・微熱・寝汗・倦怠感などは肺結核の可能性を考える必要があるのです。
感染症は、ウイルスや細菌などにより引き起こされる疾患で、私たちは白血球を中心とした免疫機構により、それら病原体を攻撃・排除しています。
特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、ウイルスや細菌をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に病原体を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた病原体をも攻撃するのです。
そしてその後、病原体を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で病原体を攻撃することとなります。
また好中球は細菌やカビなどを殺傷するとともに、リンパ球の一つであるB細胞はヘルパーT細胞の命令を受けて、その病原体(抗原)に対する抗体を産生し、その抗原の働きを止めてしまうのです。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はB細胞による抗体の産生能力を高めるだけでなく、ストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果も有しているため、様々な感染症の治癒を可能とするのです。
それゆえ鍼灸治療は「肺結核」の症状である咳・痰・微熱などに対し、鍼灸治療の持つ消炎・抗炎症作用で症状を緩和するとともに、止血作用により血痰などの出血を軽減するのです。