甲状腺がんは、比較的若い年齢から多くみられる悪性腫瘍で、その男女比は1:4と女性に多い疾患です。
一般的にがんは命に関わる危険な病気と考えられていますが、甲状腺がんはその中でも比較的進行の遅い死亡率の低いがんで、甲状腺がんの約90%は放置さえしなければ予後は良好です。
しかし、それらを放置することにより移行するとされる未分化がんと呼ばれる甲状腺がんは全てのがんの中でも最も予後が悪く、急に死に至る恐ろしいもので、甲状腺がんの約5%を占めています。
原因は今のところ明らかではなく、自覚症状も喉にしこりが出来る以外、あまり特徴的な症状はみられないことの方が多いようです。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「甲状腺がん」の症状であるノドの痛みに対し、鍼灸治療の持つ鎮痛作用で癌性疼痛を緩和します。