白血病は「血液のがん」ともいわれ、遺伝子変異を起こした造血細胞が骨髄やリンパ節・末梢血で自律的に増殖して血液中にあふれるため正常な造血が障害され、免疫力の低下による感染症、血小板の減少による出血傾向、赤血球の減少による貧血などのほか、発熱や全身倦怠感などがみられる疾患です。
この疾患は病態の違いから「骨髄性」と「リンパ性」に分類され、それらはともに「急性」と「慢性」に分けられます。
また、それ以外に特殊なタイプとして特定のウイルスが原因となる「成人T細胞白血病」がありますが、その他は原因が明らかではなく、放射線・ウイルス・薬剤などの関与が考えられています。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「白血病」の症状である出血傾向に対し、鍼灸治療の持つ止血作用で出血を抑制するとともに、白血球増加作用でリンパ球の機能障害を緩和して免疫力の低下を軽減します。