過敏性腸症候群は、腸に器質的な異常がみられないにも関わらず、下痢や便秘などの腸管症状を呈する疾患で、便秘を主な症状とする「便秘型」、下痢を主な症状とする「下痢型」、および便秘と下痢を繰り返す「不安定型」に分けられます。
原因は心理的要因・社会的要因によるものが多く、そこに暴飲暴食や飲酒、過労などの増悪因子が加わり起こるとされています。
またこの疾患には腸管症状以外にも不眠・頭痛・全身倦怠など様々な症状がみられ、一度治癒しても再発することも多い疾患です。
しかし、身体に器質的な異常がないことから安易に薬物を用いるのではなく、心理療法や精神療法による治療が望まれます。
鍼灸治療は「過敏性腸症候群」の症状である下痢や便秘などに対し、腸の蠕動運動調整機能によりそれらの症状を緩和するとともに、鎮痛作用で腹痛を、また止血作用により腸管出血を軽減し、心的・社会的ストレスなどによって引き起こされる不眠や頭痛、倦怠感などに対しても自律神経調整作用を用いて改善を促すのです。