鉄欠乏性貧血は、貧血の中で最も頻度が高く、鉄が不足することにより赤血球の構成成分であるヘモグロビンの合成が障害されて起こる貧血で、思春期以降の女性に多くみられます。
原因は、偏食や食事量の現象による「鉄の供給低下」、消化管の疾患などによる「鉄の吸収不良」、消化管の潰瘍やがん・痔核・過多月経などの出血による「鉄の喪失」、成長期や妊娠などによる「鉄の需要亢進」などといった鉄の欠乏によるものです。
症状は、顔色不良・息切れ・めまい・動悸・頭痛・倦怠感・舌炎・嚥下障害・爪の変形など様々なものがあり、治療としては鉄欠乏を改善することを目的に原因疾患の治療や鉄の補給が行われます。
私たちの身体には、酸素・二酸化炭素・栄養素・老廃物などを血液に乗せて運ぶ動脈・静脈という血管が全身に張り巡らされています。
また、それ以外にもリンパ液(組織液)がリンパ管内を巡行し、その途中には関所として免疫機構を担うリンパ節が各所に設けられています。
そして、それら血液やリンパ液を身体の隅々まで行き渡らせるために休まずポンプとして働き続けているのが心臓です。
最新の研究で鍼灸治療は、それら循環器に対し、様々な作用を示すことが分かってきました。
血液に対しては、赤血球・白血球・血小板を増加させるとともに、血管を拡張させて血流を改善し血圧を調整、出血に対しても血液凝固を促進し止血を促します。
神経系・免疫系・内分泌系に対しても生理学的に働きかけ、脈拍の正常化・抗体の増加・免疫活性・血液の抗酸化など、様々な作用を発動するのです。
それゆえ鍼灸治療は「鉄欠乏性貧血」の症状である息切れ・動悸・めまい・顔色不良・倦怠感などに対し、増血・赤血球増加作用および整胃・整腸作用により、それらの症状を軽減するとともに、鎮痛および消炎・抗炎症作用を用いて頭痛や舌痛、また舌炎などを抑止するのです。