淋病は、淋菌によって起こる感染症で、男性では尿道炎、女性では膣炎や子宮頸管炎を起こします。感染の仕方は性的接触による性交感染で、1~14日間の潜伏期間をおいたのち症状が現れます。
男性の症状は、尿道の不快感や排尿痛・頻尿のほか、症状が進むと黄色い膿が尿道から排出されるようになります。
それに対し女性の症状はとても軽く、膣からの分泌物の粘り気が強くなったり分泌物が少し黄色く色づく程度で、すぐに気付かない人も多く、他の人に感染させてしまうこともよくあるのです。
予後はあまり悪くありませんが、性行為の多様化により最近は淋病の罹患率が増加傾向にあると言われています。
感染症は、ウイルスや細菌などにより引き起こされる疾患で、私たちは白血球を中心とした免疫機構により、それら病原体を攻撃・排除しています。
特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、ウイルスや細菌をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に病原体を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた病原体をも攻撃するのです。
そしてその後、病原体を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で病原体を攻撃することとなります。
また好中球は細菌やカビなどを殺傷するとともに、リンパ球の一つであるB細胞はヘルパーT細胞の命令を受けて、その病原体(抗原)に対する抗体を産生し、その抗原の働きを止めてしまうのです。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はB細胞による抗体の産生能力を高めるだけでなく、ストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果も有しているため、様々な感染症の治癒を可能とするのです。
それゆえ鍼灸治療は「淋病」の症状である尿道の痒みや膿性分泌物排出などに対し、鍼灸治療の持つ消炎・抗炎症作用で症状を緩和するとともに、鎮痛作用により排尿痛を改善するのです。