胃・十二指腸潰瘍は、胃粘膜から分泌される胃酸やペプシンなどといった攻撃因子と自身の粘膜表面を守る粘液などの防御因子の均衡が崩れたことによって粘膜が傷害され欠損が生じたもので、再発しやすく、急性のものはストレスの関与が強いとされています。
症状は、胃潰瘍の場合で食後1~2時間、十二指腸潰瘍の場合には空腹時に心窩部の痛みが現れる他、腹部膨満感・悪心・嘔吐・下血による黒色便などがみられます。
また、最近ではヘリコバクターピロリ菌の感染が潰瘍の形成に深く関与していると考えられており、予防的に除菌する他、発症しても適切な治療を行えば予後は良好です。
鍼灸治療は「胃・十二指腸潰瘍」の症状である上腹部痛や心窩部痛、また背中の痛みなどに対し、鍼灸治療の持つ鎮痛作用で、それらを緩和するとともに、胃の運動調整機能および自律神経調整機能により胃の粘膜を守り、悪心・嘔吐・腹部膨満感といった症状を改善し、吐血や下血に対しても止血作用で出血を抑制するのです。