認知症は、記憶や認知などといった高次脳機能を司る脳神経細胞が何らかの原因により慢性的に障害された状態でアルツハイマー型・脳血管型・レビー小体型などがあり、そのうちアルツハイマー型が全体の半数以上を占めています。そしてそれらの発生機序は様々でアルツハイマー型は広範囲におよぶ脳の委縮と大脳皮質に老人斑と呼ばれるタンパク質が多く現れるもの、脳血管型は脳血管障害後に二次的に発症するもの、またレビー小体型は大脳皮質にレビー小体と呼ばれる異常なタンパク質が現れパーキンソン様症状がみられるものであり、これらは進行的に失認・失行・妄想・徘徊・物忘れ・抑うつ・人格の変化などの症状を呈してくるのです。
鍼灸治療の身体に及ぼす効果には、神経系・免疫系・内分泌系に対する生理学的作用の他、酸素を運ぶ赤血球の増加作用・血液抗酸化作用・血流改善・代謝促進・自律神経調節・恒常性保持機能・コレステロール減少作用・強心作用など、老化を防止し、健康な状態を保つための作用が多くあります。 それゆえ鍼灸治療は「認知症」の症状である記憶障害・認知機能障害・失認・失行・徘徊・物忘れ・妄想・抑うつ・意欲減退などの進行を遅らせ、人格・性格の変化を抑止するように働くのです。