大腸がんは、盲腸・結腸・直腸の大腸粘膜上皮から発生する悪性の腫瘍で、食の欧米化に伴い、近年わが国では増加傾向にあります。
原因は明らかではありませんが、食事との関連の他、がん遺伝子の関与もあるとされ、胆嚢切除後の人や長期に大腸の炎症がある場合にも発症しやすいとされています。
初期には症状が乏しく、特に結腸のうち右側の上行結腸にがんが有る場合は進行するまで症状があまり出ません。また、左側の結腸や直腸の場合は便秘が多く、少量の持続出血による貧血などが起こることもあり、進行すると腹痛や血便、腸閉塞などがみられ、部位によっては術後、人工肛門となる場合もあるのです。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「大腸がん」の症状である腹痛に対し、鍼灸治療の持つ鎮痛作用で癌性疼痛を緩和するとともに、腸に対する蠕動運動調整作用および止血作用により便秘や血便の症状を軽減します。