脳梗塞は脳血管の閉塞によって脳細胞が壊死をきたす疾患で、その原因や機序の違いにより脳血栓と脳塞栓の2つに分けられます。
脳血栓は動脈硬化などにより脳血管の一部が狭くなって血流が阻害され、そこに血の塊(血栓)が生じて詰まるものであるのに対し、脳塞栓は心臓など脳以外の部位に生じた血栓・脂肪塊・腫瘍細胞といった塞栓子が脳血管に至り、そこを詰まらせるものなのです。
症状は脳の障害された部位によっても異なりますが、主に片麻痺・片側感覚障害・半盲(視野障害)・失語・失認・失算・着衣失行・運動障害・眼球運動障害・頭痛・吐き気・嘔吐・めまい・意識障害など様々な症状がみられます。
私たちの身体には、酸素・二酸化炭素・栄養素・老廃物などを血液に乗せて運ぶ動脈・静脈という血管が全身に張り巡らされています。
また、それ以外にもリンパ液(組織液)がリンパ管内を巡行し、その途中には関所として免疫機構を担うリンパ節が各所に設けられています。
そして、それら血液やリンパ液を身体の隅々まで行き渡らせるために休まずポンプとして働き続けているのが心臓です。
最新の研究で鍼灸治療は、それら循環器に対し、様々な作用を示すことが分かってきました。
血液に対しては、赤血球・白血球・血小板を増加させるとともに、血管を拡張させて血流を改善し血圧を調整、出血に対しても血液凝固を促進し止血を促します。
神経系・免疫系・内分泌系に対しても生理学的に働きかけ、脈拍の正常化・抗体の増加・免疫活性・血液の抗酸化など、様々な作用を発動するのです。
それゆえ鍼灸治療は、血流調整・血液循環促進作用およびコレステロール減少作用により「脳梗塞」の発症を抑止するとともに、神経系に対する生理学的作用を用いて、脳梗塞の後遺症である片麻痺・運動障害・感覚障害・失語・失認・視野障害・眼球運動障害・めまい・頭痛などの症状を軽減してゆくのです。