脳出血は、高血圧などを原因として脳の深部の血管が破れて出血し脳内に血腫を形成する疾患で、その発生部位により被殻出血・視床出血・大脳皮質下出血・小脳出血・橋出血の5つに分類されます。
症状は脳の障害された部位によっても異なりますが、脳梗塞に比較して出血による頭蓋内の圧力の亢進が高度に起こるため意識障害が出現しやすく、他に片麻痺・片側感覚障害・眼球運動障害・失行・失語・失認・失書・失読・視野障害・運動障害・呼吸障害・頭痛・吐き気・嘔吐・めまい・けいれんなどの症状がみられるのです。
また、出血による血腫が小さければ薬物などにより保存的な治療が行われますが、血腫が大きい場合には外科手術が行われます。
私たちの身体には、酸素・二酸化炭素・栄養素・老廃物などを血液に乗せて運ぶ動脈・静脈という血管が全身に張り巡らされています。
また、それ以外にもリンパ液(組織液)がリンパ管内を巡行し、その途中には関所として免疫機構を担うリンパ節が各所に設けられています。
そして、それら血液やリンパ液を身体の隅々まで行き渡らせるために休まずポンプとして働き続けているのが心臓です。
最新の研究で鍼灸治療は、それら循環器に対し、様々な作用を示すことが分かってきました。
血液に対しては、赤血球・白血球・血小板を増加させるとともに、血管を拡張させて血流を改善し血圧を調整、出血に対しても血液凝固を促進し止血を促します。
神経系・免疫系・内分泌系に対しても生理学的に働きかけ、脈拍の正常化・抗体の増加・免疫活性・血液の抗酸化など、様々な作用を発動するのです。
それゆえ鍼灸治療は、血圧降下作用・血流調整作用・コレステロール減少作用により「脳出血」の発症を抑止するとともに、神経系に対する生理学的作用を用いて、脳出血の後遺症である片麻痺・運動障害・感覚障害・失語・失認・視野障害・眼球運動障害・めまい・頭痛などの症状を軽減してゆくのです。