東洋医学において「気」がエネルギーを意味するのに対し「気」とともに人体の生理作用を担う基本的物質である「血」と「津液」は現代医学の血液と体液に相当するものと広義の意味において捉えていただければ良いと思います。
「血」は、赤い液体であり血脈中を流れ全身の組織や細胞に栄養を与える作用を持っています。
皮膚や毛髪に潤いや光沢があり顔色が良いのも、感覚器や運動器が円滑に機能し、また精神的な安定がなされるのも栄養豊富な「血」が欠乏することなく充分に満ち足りているからなのです。
また「津液」は、人体の正常な水分の総称であり、リンパ液・細胞内液・唾液・胃液・涙・汗・尿などが全てそれに含まれます。そして「津液」は、体表から体内にいたるまで広く身体を潤すとともに体温調節の働きもしています。
では、ここからは「気」「血」「津液」が存在し働く現場の中心となるそれぞれの「臓腑」(内臓)を見てまいります。
と、言いたいところですが、しかしその前にここで皆さんにはお酒でも呑んでいただいて、少し … いや、かなり頭をやわらかくしていただかなければなりません。
なぜなら、東洋医学における「臓腑」の概念は「血」や「津液」がまだ現代医学に近い部分が多いのに比べ、実際の内臓の機能とは、全く違った考えを有しているからなのです。
それゆえ各臓腑たちは、様々な現実とは異なる働きをするばかりではなく、実際には存在しない架空の臓腑までもが登場してきてしまうのです。
でも、決してそれらは適当に臓腑の働きを定めたいい加減なものではありません。
東洋医学の生体観は人間、そして精神と肉体も…、その全てが自然界の一部てあると捉えているため、目に見える形にこだわるのではなく、「気」「血」「津液」や「精」「神」も含めたその生理機能全体を概念として認識しているため、そのような目に見えない臓腑も登場してくるのです。
ですから、東洋医学に基づくその生理作用の示す答えは、形状だけに目を向けた現代医学のそれと何ら変わらず、また治療においては副作用なく、それ以上の成果をあげているのが現実です。
ところで…、皆さんは「忘憂の物」という言葉を聞かれたことはございますか?
「忘憂の物」とは、憂いを忘れさせてくれる物という意味を持った酒の異称。そう、今宵はカクテルとともにさぁ皆さん。それでは、そろそろ私とご一緒に五臓六腑に染み渡る「百薬の長」を味わってみましょうか。
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