相手に「君は何者だ?」と問われたとき、あなたならどう答えますか?
多くの人は自分の名前を名乗り、また住所や職業・年齢などを答えるのではないでしょうか。
でも果たしてそれは、あなたという人間を本当に正しく表現し証明することが出来ていると思いますか?
確かに年齢は、あなたの肉体がこの世に生まれてからどれだけ時間が経過しているかを表しています。しかし名前・住所・職業などはあなたに付属する公的条件にしか過ぎず、社会から見た場合、肉体は同じであっても改名したり、引っ越しや転職などをするとその段階であなたは別の人間になってしまいます。
では、自身を証明するにはどうすればよいのでしょうか?
それは形而下(形あるもの)のあなたである「肉体」だけを見せるのではなく、形而上のあなた、すなわち「精神」を相手に理解させることが大切なのです。
見た目ではなく、どんな考えや価値観を持った人間なのか、それが相手に伝わったとき初めてあなたが証明されるのです。
そればかりか、たとえあなたに会ったことがなくても文通などで長きに渡り交際してきたならば、あなたがどんな人間であるのかが、しっかり伝わっているはずです。
逆に通勤電車などで毎朝会っていても一度も話したことがなければ相手がどのような人間なのか識る由もありません。
このように「精神」と「肉体」すなわち、心身が対になったものが人間であり、それらもまた「精神」が『陰』、「肉体」が『陽』という関係性を有しているのです。
では、この目に見えない「精神」とはどのようなものなのか、また目に見える「肉体」はどのような生理作用により成り立っているのかを東洋医学の目線で探ってまいりましょう。
精神という言葉には、人の心・たましいなどの他に「物事の根本」という意味があります。つまり肉体も含めた人間そのものを成り立たせる根源的なものが精神というわけです。また精神は「精」と「神」に分けられ、それぞれ違う働きをしています。
私たちが生命活動を行なうためにはエネルギーを必要としますが、「精」はそのエネルギーを産み出す材料となる物質を意味しているのです。そしてそれには先天性のものと後天性のものがあります。
先天性のものは、私たちがこの世に生まれ来るときに両親から授かるもので「先天の精」と呼ばれます。また後天性のものは、普段の食事により得られるもので「後天の精」と呼ばれています。
それに対し「神」は、全ての生命活動を意識的・無意識的に支配・統制するものと考えられ、狭義の意味においては思惟活動を主宰する「こころ」を意味しています。
このように精神は、私たちの肉体が健全に機能し、生命を維持するための生理活動を滞りなく行なうための元となるものなのです。
つまり「こころ」が健康でなければ身体の具合も悪くなるということですね。
現代的にいうならばストレスによって肉体に症状が引き起こされる「心身症」などといったところでしょうか。
『精神』は、常に安定させておきたいものです。
また精神に対し、肉体における生理作用は『気』『血』『津液』という3つのものがそれぞれ担っています。
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