『基礎医学』を知ろう!

その他の機関

さて皆さん、専制国家『人体』の統治システムは如何でしたか。

それぞれの省がかなり専門的な仕事をしていることにきっと驚かれたのではないかと思います。

しかし国の機関はこれだけではありません。今まで登場していない機関が他にもあるのです。

次に紹介するのは意外と知られていないマルチ機関「脾臓」です。

脾臓は、胃の後ろ左側にある長径10㎝くらいの卵形をした臓器で、主にリンパ球とともに免疫を担っているため一応免疫系に属しますが、それ以外にもリサイクル工場として古くなった赤血球を破壊しヘモグロビンに含まれる鉄を回収する仕事や、血液の貯留施設として全身に流れる血液量を調節したりしています。

また血液は、普段骨髄で造られていますが、何らかの理由でそれが出来なくなった時、脾臓は驚くことにピンチヒッターとして血液を造り始めます。すなわち予備の増血器の働きを持っているというわけですね。

さて、いよいよ最後に登場するのは、我が国最大の臓器であるとともに、最もマルチなスーパー機関、それは… そう、『Mr.レバー』こと、「肝臓」です。

肝臓は一応、消化器系に属しますが国内最大の化学工場として様々な役割を担っています。

そして、その数はあまりにも多く数百にもおよびます。

ですからここでは、その働きの代表的なものを幾つかピックアップすると致しましょう。

肝臓と聞いて皆さんがまず、思い浮かべられるのは、アルコールの代謝ではないでしょうか?

アルコールはその分解過程で人体に有害な「アセトアルデヒド」という物質に変化します。つまりそれが悪酔いの原因物質なのです。

肝臓は、それを無害な酢酸へと変化させるとともに、一部の食品に含まれる自然毒や薬物など、身体に害を及ぼす毒素を解毒する働きをしています。

またエネルギーとなるブドウ糖をグリコーゲンに変えて貯蔵したり身体の構成材料であるタンパク質を食品より分解したアミノ酸から合成するほか、胆汁を生成し、自身のすぐそばに位置する胆嚢へと注ぎ、脂肪の代謝にも関与します。

そして肝臓は、自身の中に多くの血液を貯め込み全身を流れる循環血液量を調整し、その大工場からでる熱により体温の維持・調節、および血液凝固に関連する物質の生成も行っているのです。

本当に挙げたらキリがありません。

このように肝臓は、生命維持に欠かせないたくさんの仕事を日々、こなし続けているのです。

また肝臓は、脾臓と同様に危機の際には増血器としての機能も担い始めます。

そして何よりも肝臓について一番驚くことは、まるで切れたトカゲのしっぽのように驚異的な再生能力を持っているということです。

肝ガンの切除手術などにより多くの部分を無くしたとしても肝臓はわずか数週間で元通りに修復再生されるという極めて特殊な機能を備えているのです。

さすがは、『人体』NO.1のスーパーマルチ機関、国家機関を維持するため、地震やテロなど国家機能を揺るがすような大災害に対しても強く作られているというわけですね。

医療・健康コンテンツ