『基礎医学』を知ろう!

国の礎(いしずえ)

さて、ここからは独立国家『人体』の国土を形成している3つの省「骨格系」「筋肉系」「外皮系」とそれぞれに所属する各部署の働きを詳しく見てまいりましょう。まずは、その一番基礎となる骨に注目です。

骨格系は、その名の通り骨組みとして身体を支えるとともに頭部においては硬い「頭蓋骨」が皇帝を衝撃から守る役目もしています。

主な骨を部位別に挙げると、腕には「上腕骨」「橈骨」「尺骨」があり、足には「大腿骨」「脛骨」「腓骨」があります。

また体幹には「背骨」「肩甲骨」「鎖骨」「肋骨」「骨盤」などがあり、胸や腹の内臓を保護しているのです。

人体は約206個の骨で構成されていますが、人によって「尾骨」の数が微妙に違います。3~5個くらいの幅ですが、進化の程度に個人差があるのかもしれませんね(笑)。

そして、人体の中で最も小さい骨は耳の中にある「耳小骨」で米粒ほどの大きさの骨が3つ繋がり鼓膜の振動を内耳に伝えています。

また骨は身体の重みを支えるだけではなく、カルシウムの貯蔵庫であるとともに中には髄を持つものもあり赤血球や白血球の産生もしています。血液は骨で造られているって皆さん知ってましたか?

そして高齢者に多いのが骨密度の低下する骨粗鬆症ですが、それは骨が毎日生まれ変わっていることに起因しています。

骨は「骨芽細胞」によって毎日造られ、「破骨細胞」によってどんどん壊されます。

でも若く健康な人は、そのバランスが安定しているために骨は硬く丈夫ですが、特に閉経後の女性などは骨芽細胞の活動を高める性ホルモン「エストロジェン」が急激に減少するため骨がスカスカになってしまうのです。

骨を造るにはとにかくカルシウムの摂取と運動が大切です。

そして、太陽の光を毎日浴びること。太陽の光はカルシウムを骨に沈着させる働きをするビタミンDを増加させるのです。

人体の根幹を成す大切な骨。いつまでも強くありたいものですね。

骨格系と協力して身体各部の運動を司り、国土の大きな部分を占める省が「筋肉系」です。

筋肉は主に骨を動かして身体を運動させるため、その末端は骨に付着しています。そしてその付着部が「腱」であり、とても硬い組織で出来ています。鶏肉を食べた時にあるあの白く硬いスジが腱なのです。

ギリシャ神話の英雄アキレウスに由来する有名な足首の後ろにあるアキレス腱は、ふくらはぎの筋肉である「腓腹筋」「ヒラメ筋」が踵の骨に付く部分です。

また腱は、刀のように鞘(さや)に収められており、手首などが痛くなる腱鞘炎は、筋肉の疲労などにより、その筋肉の腱の鞘の部分が炎症を起こしたものなのです。

では、人体の代表的な筋肉を見ていきましょう。

肩や腕には「三角筋」や力こぶを作る「上腕二頭筋」があり、肩凝りは首から背中に拡がる「僧帽筋」が固くなるのが主な原因です。

胸や腹の「大胸筋」や「腹直筋」は、たくましい男性的な肉体を形作り、お尻にある「大殿筋」は、ふくよかで女性的な肉体を演出してくれます。

また、足の太ももには「大腿四頭筋」「大腿二頭筋」という大きな筋肉があり、「前脛骨筋」とともに身体の重みを支えています。

スポーツにはマラソンやウォーキングなど長い時間継続する運動と砲丸投げや重量挙げなどのようにとても短い時間に大きな力を出す運動があります。

そして筋肉には各々の運動に適した種類があり、それぞれ「赤筋」「白筋」と呼ばれています。

一生休みなく泳ぎ続ける回遊魚のマグロなどは持久力があり赤い身をしていますが瞬発力はありません。

しかし、磯の岩場などでじっとしている鯛などは白い身で持久力はありませんがいざとなると凄い瞬発力で大きな力を出すことが出来るのです。

私たち人間にも生まれつき「赤筋」と「白筋」の別があり、普通の人はその比率があまり偏っていませんが、オリンピックや世界選手権等に出場する選手などになるとマラソンなら「赤筋」のかなり多いマグロタイプの筋肉を持った人が走っているはずですし、重量挙げは「白筋」に偏った筋肉を持つ磯魚タイプの人でないとまず出場は不可能だと思います。

よく「99%の努力と1%の才能」とは言うものの、残念ながら各種目に出場する選手たちの身体的特徴が、種目によってガッチリ型や痩せ型など、ほぼ共通していることを見ても分かるように、やはり人には向き不向きってあるんですね。

『人体』という国の国土を外界から区別・分離する境界を管理する省、それが「外皮系」です。

外皮系を構成するものは「皮膚」とその派生物である指の末節を保護する「爪」、および身体各所のいろんな種類の「毛」などです。

そしてそれらは、暑さ寒さや衝撃、また細菌・ウイルスなどの攻撃も含めた外部環境から国を守る働きをしている『人体』の城壁なのです。ここではまず全身を覆う「皮膚」に着目し、詳しくその役割と特性を見てまいりましょう。

皮膚は外から表皮・真皮・皮下組織の3層で構成されており、表皮の最下部である基底層では常に新しい皮膚が作られ古くなったものは、約4週間で表面から垢として捨てられていきます。

皮膚には毛穴があり、脂腺や汗腺がその途中に開口し皮膚の乾燥を防いだり、体温調節を担ったりするとともに、そこから生えた毛が皮膚を衝撃や寒さから防御しています。

寒くなると鳥肌が立ちますが、これは真皮にある立毛筋が体温を逃さないために収縮し、毛穴や汗腺をふさぐことによって起こるものです。

また皮膚は国境線を形成する場所でもあるため、局所における外部の情報をキャッチする感覚器官のような働きもしています。そしてそれには「触覚」「圧覚」「温覚」「冷覚」「痛覚」の5つの感覚があり、それらを感知するマイスネル小体・パチニ小体・ルフィニ小体・クラウゼ小体・自由神経終末などのセンサーが全身に点在しているとともに、それらの情報は皇后スパイナルに伝えられ、皇帝へと伝達されるのです。

しかし、熱せられたフライパンに誤って手を触れてしまったなど、センサーからの情報があまりにも強く、緊急対応が必要な時は皇后スパイナルが自己判断で腕の筋肉に瞬時に命令を下し、手を引かせた後に皇帝に知らせるという行動を取るのです。

これが脳を介さない反射「脊髄反射」であり、皇帝ブレインの妻である脊髄も中枢神経である由縁なのです。

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