『基礎医学』を知ろう!

『人体』という名の国家

約60兆個にもおよぶ細胞で構成される私たちの身体は、それぞれ役割別にチームを組み、互いに協力し合いながら、その生命の維持に務めています。

いくつかの細胞の集合体である「組織」は、一定の配列のもとに組み合わされて一つの機能を営む「器官」を構成し、また各器官はその仕事をスムーズにおこなうために「器官系」を構築します。

そして、その各器官系がそれぞれ協調的に機能することにより人体が成り立っているのです。

人体を国に例えるなら、その最小の単位である細胞は、一人一人の「国民」に相当します。そして、それを絶対君主制を施いて支配するのが「脳」、すなわち『皇帝ブレイン』です。

脳を専制君主とするその国家は、国そのものである自身を機能させるため、国の機能を幾つかの「省」に分け、その下部機関とともに様々な役割を担わせています。

そしてそれが〈器官系〉および〈器官〉というものなのです。

国土交通省が、その各部局に道路や海運・航空の円滑な運行を管理させるように〈器官系〉の一つである循環器系と、それに所属する〈器官〉である動脈・静脈・リンパ管などは、血液や組織液を滞りなく流れるように機能しています。

また、防衛省が所管する自衛隊が他国からの攻撃を監視・防衛しているように、免疫系である脾臓やリンパ節は、白血球やリンパ球を産生し、細菌やウイルスを迎撃しているのです。

そして、その各々の〈器官〉は、国民である〈細胞〉一つ一つが集まって作る〈組織〉により構成され、国民の一人一人が『人体』という国を守り、発展繁栄させると同時に自国の安寧を保つため、皇帝の命令に忠実に従い、日々働き続けているのです。

それでは、ここからは『人体』いう国の政府が、どのような機関により構成されているのかを順に詳しく見ていくといたしましょう。

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