自然界に存在する全ての生物が示す生命の営み、それこそが38億年もの長きに渡って引き継がれてきた『生命現象』と呼ばれるものなのです。
そしてその営みは、摂取・分解・合成・活動・排泄、という極めて単純なもので、それ以外に成長と増殖を行って種の保存をはかるということをしています。
そしてアメーバのような単細胞生物は1個の細胞の中で全ての生命現象を営んでいますが、私たち人間を始めとする多細胞生物は様々な種類に分化した細胞や器官が互いに協力し合いながら1つの個体として『生命現象』を営んでいるのです。
でも、大自然の中において生物は、そのものだけで存在しているのではなく、その生命を取り巻く環境は常に変化し続けています。
気温・湿度・天候、時には黄砂や大気汚染、また突然ウイルスや細菌の侵襲を受けるかもしれません。
そこで生体は、その環境の変化に対応し生命を維持するシステムとして『ホメオスタシス』という機能を先天的に備えているのです。
ある意味、この地球という惑星の生命が生きていられるのは、恒星である太陽が常に変わらず安定したエネルギーの恵みを与え続けてくれているからと言えるでしょう。
恒常性とも表現される『ホメオスタシス』は、その名の通り恒(つね)に常(つね)である性質であり、太陽がいつも恒常性を保っているために地球がずっと安定した状態で在り続けられるように私たち生命体の内部環境を守り続けてくれているのです。
では「恒に常である性質」とは、どのようなものなのでしょう。
生理学において『ホメオスタシス』という言葉の語源はギリシャ語で同一という意味の「HOMEO」と状態をあらわす「STASIS」という言葉が合わさって出来た合成語です。
同一の状態とは常に同じであるということですが、それは固定的なものではなく、ある一定範囲をもって一番安定した状態に調整されることを意味しているのです。
すなわち『ホメオスタシス』とは、生体が外部から独立して外部の環境に左右されることなく、内部環境をある範囲内に維持するメカニズムというわけですね。
そして、その恒常性を主に担っているものが「自律神経系」であり「内分泌系」および「免疫系」と互いに協力し合いながら、私たちの知らないところで休むことなく生体機能の調整をしてくれているのです。
さて、それではここからは『人体』を一つの国に見立て、その国を治めるトップが誰なのか、また国内はどのようなシステムによって機能し、守られているのかを一緒に楽しく見てまいりましょう。
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