『基礎医学』を知ろう!

自分の思いは、1%も …

脳を絶対的支配者とする神経系の情報伝達経路には、列車のように「上り」と「下り」があります。

中枢である脳を中心として考えた場合、脳に向かって情報が伝えられる上り列車にあたるものが「求心性神経」、またそれとは逆に脳から遠ざかる方向に向かって命令がなされる下り列車にあたるものが「遠心性神経」です。

求心性神経は皮膚や内臓など末梢部のセンサーがとらえた「痛い」とか「熱い」などの知覚的感覚を脳に伝え、また遠心性神経は筋肉や内臓に指示を出し運動や消化・循環などをスムーズに行えるように脳からの命令を伝えるのです。

そして、ここで是非とも皆さんに知っておいてもらわなければならないことは、私たちが自分の意志で出来ることは「骨格筋を動かして運動する」ただそれだけであり、それ以外は何一つとして自分の身体に対して管理も命令も出来ないということです。

すなわち、生きるために必要な作業の99%以上は、皇帝ブレインが自律神経や内分泌器官に命令して担わせているのです。

さすがは皇帝だけあってかなり専制的というわけですね。

医学では自分の意志で管理出来るものを「随意的」、また出来ないものを「不随意的」と表現します。

起きている間は当然のことながら寝ている間においても心臓は力強く打ち続け、体温も一定範囲内に維持されており、それらは全て私たちの意志とは全く関係無く不随意的に行われているのです。

そしてその範囲は、循環・呼吸・消化・代謝・分泌・排泄・生殖・体温維持など全般におよびます。

つまり私たちは、自律神経がうまく機能してくれているから健康に生きていられるとともに、私たちが自身だと思っているその意識さえも脳の創り出した傀儡(かいらい)に過ぎず、気付かぬうちにその意識としての自分が食事をしたり、運動をしたりして皇帝のために働かされているとは本当に驚くばかりです。

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