摂食障害は食行動に異常が起きる疾患で、代表的なものには病的な体重増加への恐怖から必要な栄養摂取を拒む「神経性無食欲症」とむちゃ食いを繰り返す「神経性大食症」があり、多くの場合それらは互いに移行し、徐々に抑うつ的になっていきます。
この疾患は9割以上が思春期以降の若い女性で、痩せ願望や自分の体形への歪んだイメージなどから拒食と過食を繰り返し、過食後に自己誘発性嘔吐や下剤などを用いた不適切な代償行為を行います。その結果、身体は過度な栄養障害をきたし、無月経・貧血・脱毛・脱水・低体温・便秘などといった症状も現れるようになり、長期化して悪化すると飢餓や自殺により死亡することもあるのです。
鍼灸治療は、精神や情動に関与する脳内神経伝達物質であるセロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンなどを分泌させる作用があるとともに、自律神経調節作用・ホルモン調節作用・精神安定作用などの作用も有するため「摂食障害」でみられる繰り返す過食や拒食・不安感・易疲労・嘔吐などといった症状を軽減するとともに、栄養障害から生じる貧血・脱毛・脱水・低体温・便秘・無月経などを抑止するのです。