卵巣がんは、卵巣に発生する悪性腫瘍で、原発性のもの以外に子宮体がんなどから転移し発生する転移性のものもあります。
好発年齢は40歳以降で、経産婦より未産婦に多いと言われていますが、その原因は明らかとなっていません。
症状としては、病巣が小さい初期では無症状ですが、がんが急速に発達することも多く下腹部が短期間に膨隆する他、腹部の痛みなどによって気付くことも少なくありません。がんが進行すると卵巣が破れ腹腔内にがん細胞が飛び散るため、がん性腹膜炎を起こし腹部や腰部の痛みが激しくなります。子宮体がんが比較的予後が良いのに対し、卵巣がんの予後はあまり良くありません。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「卵巣がん」の症状である下腹部痛や腰部痛などの癌性疼痛に対し、鍼灸治療の持つ鎮痛作用により、がんの痛みを緩和するとともに、胃の運動機能調整作用を用いて食欲不振を、さらに排尿障害改善作用で頻尿などの症状を軽減します。