皮膚がんは、皮膚に生じる悪性の腫瘍の総称であり、主なものには発生頻度は高いものの転移が稀で悪性腫瘍とは言い難い「基底細胞がん」、びらん性の腫瘤を形成し転移しやすい「有棘細胞がん」、皮膚がんの中でも悪性度が高い「悪性黒色腫」などがあります。
原因は今のところ明らかではありませんが、火傷や外傷などにより形成された瘢痕組織や、長期間の過剰な紫外線や化学物質などにさらされた皮膚組織ががん化すると考えられています。
基底細胞がんと悪性黒色腫はどちらも黒い腫瘤で、あまり見分けがつきません。それに対して有棘細胞がんは、赤く盛り上がり表面がジクジクして出血しやすい傾向にあります。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「皮膚がん」の症状である皮膚表面のびらん化や皮膚の潰瘍化などに対し、鍼灸治療の持つ消炎・抗炎症作用により皮膚の状態を改善させるとともに、止血作用により皮膚の出血傾向を軽減します。