乳がんは、乳房の乳腺に発生する悪性の腫瘍で、食の欧米化に伴う脂肪摂取量の増加を理由として近年増えるに傾向にあり、罹患率・死亡率ともに高くなっています。
好発年齢は50歳前後で、未婚の人や初めての妊娠年齢が高い人、閉経年齢が遅い人、また肥満女性などで発生頻度が上がり、今の所あまりよくわかっていませんが、原因としては女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の関与が高いとされています。
症状としては、乳房にしこりを触れる他、乳房の皮膚の凹みや膨らみ、また血性の乳頭分泌などがみられます。
最近では、マンモグラフィーによる画像検査が一般的です。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「乳がん」の症状である血性乳頭分泌に対し、鍼灸治療の持つ止血作用で症状を軽減します。