膵臓がんは、高齢男性に多い膵臓そのものからできる悪性の腫瘍でアルコール・喫煙・コーヒーおよび糖尿病や慢性膵炎などとの関連があるとされていますが、その原因は明らかではありません。
膵臓がんはそのできる場所により、比較的早期に症状が現れるものもありますが、多くはある程度進行するまで症状はありません。
代表的な症状は、上腹部や背中の痛みの他、食欲不振・嘔吐などであり、さらに進行すると黄疸や口渇、体重減少などもみられます。
また、膵臓がんは早期に発見することが困難であるため、その予後もあまり良いものではなく、転移のあるものにおいては3年生存率は約10%しかありません。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「膵臓がん」の症状である上腹部痛や背部痛に対し、鍼灸治療の持つ鎮痛作用で癌性疼痛や連関痛を緩和するとともに、胃の運動機能調整作用および内臓調整機能により吐き気や嘔吐、食欲不振、下痢などの症状を軽減します。