胆嚢がんは、約2:1と女性に多い疾患で、60~70代の高齢者に多く、胆嚢に発生するものを胆嚢がん、総胆管に発生するものを総胆管がんと呼んでいます。
胆嚢がんを発症したした人のうち、5割以上の人に胆石がみられますが、その胆石が原因でがんが発症するのかどうかは明らかではありません。
そして胆嚢がんはその初期にはあまり症状がなく、胆石による症状がみられることがある他、進行すると右上腹部の痛みや食欲不振、黄疸、体重減少などが現れてきます。また、胆管が腫瘍により詰まると胆汁が腸へと流れず、便は灰白色となってしまいます。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「胆嚢がん」の症状である右上腹部痛や右肩痛に対し、鍼灸治療の持つ鎮痛作用で癌性疼痛や連関痛を緩和するとともに、胃の運動機能調整作用および内臓調整機能により吐き気や嘔吐、食欲不振、下痢などの症状を軽減します。