胃がんは、胃の粘膜上皮から生じる悪性の腫瘍で、我が国に多く、がん全体の約半数を占めると言われています。
しかし、原因は明らかでなく、主として塩分の多い食生活や喫煙、ピロリ菌などが関与すると考えられています。
早期がんはそのほとんどが無症状であり、進行するに従がって食欲不振、上腹部痛、吐き気、嘔吐、体重減少などの症状が現れます。
治療は早期がんの場合、内視鏡下切除術を行いますが、進行がんにおいては外科手術による切除や化学療法を行います。
早期がんの5年生存率は90%以上と高いのですが、血液やリンパによって転移しやすいため、早期発見が重要です。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「胃がん」の症状である上腹部痛に対し、鍼灸治療の持つ鎮痛作用で癌性疼痛を緩和するとともに、胃の運動機能調整作用および止血作用により吐き気や嘔吐・吐血・下血といった症状を軽減します。